2010年1月1日
元旦にKさん宅に招待された。彼のハシエンダの自宅はかなり広い。前のオーナーは敷地内に馬を3頭飼っていたという。裏庭にはプール、家庭菜園と鶏小屋、家にはドラムとアンプを並べたスタジオがある。そして、犬が4匹と猫が3匹もいる。Kさんは26才で渡米、裸一貫からレストラン経営者になった人である。25才を筆頭に4人の息子がいるが、彼も奥さんも細かいことに拘らないので、子供達はのびのびしている。
息子たちはパーティ好きである。週末は友達を集めて、家でドラムを叩き、大音量のマイクで歌う。ビートのきいた重低音のベースは近所に鳴り響く。隣のおばあさんが苦情を言い、警察が来たこともあるが、息子たちはあまり気にしない。ロックミュージックに興奮した若者が天井に飛び上がって穴を開けるが、Kさんたちは何も言わない。天井の穴には名前、壊した日時、そして本人のコメントが書いてある。ここは若者の天国である。
Kさんの家は人の出入りが多い。見知らぬ若者が食卓にいることがあり、奥さんが「あの子は誰?」と聞くと、息子たは「俺は知らないよ」と答える。名前さえ知らぬ客は息子の友だちが連れてきた友達である。人種は日本人から中国人、韓国人、ヒスパニック、白人と多様である。食卓には英語と日本語が交じりあう。パーティが夜中まで続けば、息子の友だちはベットで勝手に寝るが、早い者勝ちである。ベットがなくなればKさんの寝室で寝る者もいる。ある夜、Kさんたちが仕事を終えて家に帰ると、夫婦のベットで数人の若者が雑魚寝していたことがある。
K家の正月料理はおせち料理、刺身、カニが並ぶ。裏庭からとってきた野菜や卵まである。雑煮の水菜は自家栽培である。私が「有機野菜は健康にいいですね」と言うと、奥さんは「水菜は雑草も混じってるのよ。分けるのが面倒くさいから一緒に入れちゃった。沢山食べてね」という。Kさんと一緒に裏庭に卵を取りに行くと、鶏小屋には野生の鳩が天井にたくさんとまっていた。彼は巣箱の中の卵を拾いながら、「エサがあるから野生の鳩が住みつくんだよね。」と事もなげに言う。
「来るものは拒まず」というK家だから犬ものんびりしている。ゴールデンリトリーバーの八ちゃんがソファを占領しても誰も文句を言わない。