2013年11月9日土曜日

仮面ひきこもりチェックリスト(5/5)太宰治の「人間失格」


チェックリストの最後は太宰治の「人間失格」についての質問。

  •   太宰治の『人間失格』に共感するか、反発するか、あるいはあえて読もうとしない。



昭和23年(1948年)に完成した「人間失格」は、太宰治の自叙伝と言われ、現在も若者の間で人気がある。




主人公は、幼少期に仮面の自分をつくり、周りの人間に演技をしながら成長して、成人してからは酒や麻薬に溺れて自己破壊する。

「人間失格」をチェックリストに加えた理由は、多くの仮面ひきこもりが「人間失格」に共感するからである。

太宰治は、文章の至る所で、仮面ひきこもりに共通する演技性、仮面の自分、対人恐怖、親子関係の問題を描写している。

『人間失格』に共感したクライアントの言葉:

笑顔も言葉も、何もかも、作られた自分です。だから、うま
く行かなくなると表の自分が疲れるんです。いつも人に合わせる
からアイデンティティを確立できない。つまり、自分がな
い、自分がないから人に影響される、右往左往する、その結
果破綻する。(本の)主人公の気持は痛いほど分かる・・・



2013年10月31日木曜日

仮面ひきこもりチェックリスト(4/5)人格の解離(二重人格)


今日は二重人格に関する質問。

仮面ひきこもりには二つの自分がある。人に合わせる表の自分。人から隠れる中の自分。

仮面ひきこもりは、自分の二面性を他人に投影するので、すべての人に二面性があると思い込むケースが多い。

これが人間不信と対人恐怖を悪化させる。どんなに良さそうな人でもウラがあれば、すべての人が恐くなる。

しかし、仮面ひきこもりは感情をストレートに表現する人も苦手であり、自己主張の強い人とどう関わって良いか分からない。

仮面ひきこもりは、いつも仮面をつけているので、「誰も本当の自分を知らない孤立感」がある。



http://www.pict01.maho.jp/user/0006/098/509/200908/4_E3TS78M6AW.jpg




  • 人は二面性があると思う。
  • 自分を見せると嫌われる、あるいは本音を言うと人間関係が壊れると思う。
  • 人に合わせて自分を殺す、あるいは相手の言葉のウラを読むクセがある。
  • 誰も本当の自分を知らないと思う。
  • 自己主張の強い人や外国人が苦手である。




2013年10月18日金曜日

仮面ひきこもりチェック・リスト(3/5)感情マヒ


感情がマヒすると、決断できなくなり、何もかんがえられなくなる。

感情がマヒすると、他人の考えが頭の中にすっぽり入ったり、自分のしたいことが分からなくなる。

感情がマヒすると人を愛せない・・・

カウンセリングすると、仮面ひきこもりは「自分の人生を生きてこなかった」と告白する時期がくる。彼らは、人に合わせるうちに、本心が分からなくなった。

感情マヒはPTSDの症状である。




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http://vetsadoptpets.org/ptsd.jpg



  • 他人の考えに支配されやすい(自分の考えが無い)

  • 何が正しいか分からなくなる。善悪よりも他人にどう思われるかで行動する。

  • 決断できない(議論するが実行しない)、自分で判断できない。

  • 何のために生きるか分からない感覚がある。

  • 自分の気持、願望、好みがよく分からない。質問されたり、反論されると動揺する時がある。


2013年10月9日水曜日

仮面ひきこもりチェックリスト(2/5)対人恐怖

今回は、対人恐怖に関する質問・・・

仮面引きこもりは、対人恐怖を何気ない態度や笑顔で隠す人が多い。

人が喜ぶと安心するので、無理して相手を喜ばすが、しかし、どんなに明るく振るまってもそれは演技である。

仮面ひきこもりは、対立を恐れて、その場しのぎする人が多い。


ストレス・対人恐怖・強迫行為・強迫観念・抑うつ状態の解説
http://caremind.jp/case/


  • 人に喜ばれると安心する。あるいは相手に喜ばれるために無理をする。

  • 人といると緊張する。自分がどう思われているか気をつかう。

  • 笑顔や何気ないフリで隠すが、本当は人が恐い。

  • 人が何を考えているかよく分からない。

  • その場しのぎするクセがある。


2013年10月3日木曜日

仮面ひきこもりチェックリスト(1/5):人間不信

 仮面ひきこもりのチェックリスト。自分にあてはまるかどうか調べるといいだろう。最初は、「人間不信」に関する質問。

仮面ひきこもりは人を信じていないので、異性と親しくなったり、家族とコミュニケーションを持つのが難しい。

独身の仮面ひきこもりは結婚できない不安を持ったりする・・・

嫌われるのが恐いので、人にメイワクをかけるのを避けたり、困った時に助けを求めない傾向がある・・・




人間不信の画像 プリ画像
http://prcm.jp/album/maisan/pic/26579700



  • 異性(妻、夫、恋人)と親密になれない、あるいは結婚できない不安がある。

  • 身近な人(親、伴侶、子ども、恋人など)に本心を言わない、あるいは言っても通じないと感じる。

  • 人をアテにしない、困った時に助けを求めない。

  • 心の深いとことでは人を信じていない。あるいは人間を好きではない。

  • 人に喜ばれると安心する。あるいは相手に喜ばれるために無理する。




2013年9月22日日曜日

仮面ひきこもり(6/6)自分を表現できない


F子さんは42才。専業主婦。会社員の夫とはあたらずさわらずの関係を保っている。二人の間にコミュニケーションはない。子どもはいない・・・

F子さんは週末になると、実家を訪ねて、年老いた両親の世話をする。自分では母を好きだと思っていた・・・

しかし、カウンセリングをすると、母を恐れていることに気づいた。幼児期から親に感情表現できなかった。あれダメ、これダメという厳しい母の気持を考えていた・・・

http://kyouizon.emc-a.com/cate/kyouizon130150100100.html



「他人のことばかり考えてきました。愛ではなく、恐怖心から・・・」とポツリと語るF子さん。役所を退職した父とは今でもコミュニケーションがない。


「本当のことを言うのが恐いんです。話せないのに無理して話すから(会話が)芝居になってしまう。生きるとは自分を表現すること。でも、それが出来ない」

F子さんの人生は人に合わせることだった。思ったことを言えば人間関係がこわれるのを恐れていた・・・

F子さんは自分を表現できない人生を生きてきた・・・



2013年9月13日金曜日

仮面ひきこもり(5/6)死ねないから生きる

Eさんは37才。独身。銀行員。どこでも見かける「ふつうの男性」・・・

Eさんはうつでカウンセリングを始めた。しかし、外に出られなくなり、社会的ひきこもりになる。医師からうつの診断書をもらい休職中・・・
 
「人にどう思われるか考えて生きてきた」というEさん。

相手が急に態度を変える恐怖があり、人に嫌われないように気を使っていた。うつは人に合わせる疲れと関係していた・・・


死なないでいる理由 (角川文庫)
http://ecx.images-amazon.com/images/I/41KB01J8N-L._SL500_AA300_.jpg




















「自分を隠すところがあります。人に嫌われるのが恐いんです」というEさん。

Eさんは、人当たりよく、やさしそうな感じ。しかし、それは余計な敵を作らないための仮面・・・


彼は本当は人を信じていない。子どもの頃から周りの大人が恐かった。カウンセリングが進むと、Eさんは「死ねないから生きる自分」を見つけた。

その自分は、人と関われない人生に絶望していた・・・



2013年9月10日火曜日

ミシガン湖の夕日

ホーランドは9月に入ると紅葉が始まる・・・






ミシガン湖の夕日を見ようと、友人がさそってくれた。彼は奥さんと一緒に、トレイラーで引っ張ってきたボートを湖に浮かべた。






マカタワ湾からミシガン湖に向う。ボートの中でワイン、手作りの鹿のソーセージ、たわいのない楽しい会話・・・





マカタワ湾入口の灯台・・・






美しい夕日が水平線を赤く染めた・・・





2013年8月25日日曜日

仮面ひきこもり(4/6)結婚できない/子育てできない不安


D子さんは32才。独身の公務員。職場の人気者。

D子さんは場を盛り上げるのがうまい。飲み会にはいつもさそわれる。しかし、素顔はその逆である。笑顔は対人恐怖を隠す仮面だった。

明るい印象のD子さんは男性によく誘われる。しかし、男性といると緊張して、デートの後でドッと疲れるのだった。同じ男性に何度も会うのは辛かった・・・


http://www.8kekkon.com/archives/0006/0102/index.php























D子さんに興味をもつ男性は多い。しかし、D子さんを本当に理解する男性はいなかった。男性と一緒にいると孤独を感じるD子さん。異性と親しくなれないので結婚は難しいと感じている。

D子さんは子どもが生まれたら虐待する不安がある。スーパーマーケットで、子どものワガママやだだをこねる様子を目にするとイライラするのだ。はしゃぐ子どもを見ると、「お前、殺してやろうか」といる気持さえわいてくる。

そんな自分が子どもをもつのは恐い。昔からこの問題を見ないようにしてきた。でも、32才という年齢が自分に結婚を強いている。



2013年8月18日日曜日

仮面ひきこもり(3/6)孤独死の不安


Cさんは33才。男性。独身。製薬会社の研究員。地味な仕事なのでコツコツ頑張るCさんは職場で信頼されている。

Cさんは孤独死を恐れている。一人暮らしのCさんは友だちがおらず、休日はインターネットにあけくれる。一日中何も食べずにコンピューターの前に座る自分に気づくとはっと我に返る。


写真
http://tanakaryusaku.seesaa.net/article/159008485.html


他の趣味を見つけようとしたが、正直言って、インターネット以外の楽しみを知らない。なぜか余計なことをするのが恐い。時々、自分はこのまま一人で死ぬかもしれない不安がよぎる・・・

子どもの頃から一人ボッチだった。大学卒業後に家を出たが、恋人はできなかった。女性といると緊張して何を話していいか分からなくなる。子どもの頃から人間関係が苦手だったCさん。自分は結婚できないかもしれないと感じる。

家族が嫌いなので実家には帰らない。しかし、友だちはいない、恋人もできない、結婚もできない。自分はまるで穴に隠れた動物のようである・・・

Cさんは、自分の人生の末路は孤独死しか思いつかなかった。



2013年8月11日日曜日

仮面ひきこもり(2/6)子どもを愛せない母親


B子さんは34才。3才の男の子の母親。専業主婦。見合い結婚。家は結婚した時に両親に建ててもらったが、夫とはしっくりいかない。会社員の夫は子育てに協力しない・・・

来年は子どもの幼稚園なので悩んでいる。他のお母さんたちとうまくやれるか、B子さんは考えるだけでおっくうになる・・・

B子さんは子どもが嫌いである。息子がはしゃぐとイライラする。ワガママを言うと腹がたつ。子どもが無理な要求をすると無視をする。


http://www.ab.auone-net.jp/~co-mirai/kosodatereality.html


子どもが近寄ってきて体に触わるとゾッとする。お母さんと呼ばないで、私に触らないでと心の中で叫んでしまう。私だって大変なのに、これ以上何を要求するんだ。子どもって本当にうっとおしい・・・

B子さんは、子どもへの嫌悪感を見ないために、必死になって世話をする。食べ物は添加物がはいってない材料を選ぶ。風邪をひかないように注意をする。子どもが怪我をしないように監視する・・・

世間に批判されない子どもにしつけねばならない。だからこそ子どもが言うことを聞かないとハラが立つ。

こんなに一生懸命やっているのに子どもには何も通じない。B子さんは、意のままにならない子どもを可愛いと思えない・・・


2013年8月2日金曜日

仮面ひきこもり(1/6)自殺願望に悩まされるエリート社員。


仮面ひきこもりとは潜在的ひきこもりの別名である。分かりやすい用語なので使うことにした。具体例を紹介しよう。ケースはプライバシー保護のために修正してあるので、念のため・・・

***

Aさんは31才、男性、独身、旧財閥系の鉄鋼会社に勤務。優秀な営業マンである。上司の信頼があつく、周りからは出世コースを歩くエリートと見られている。

Aさんは、朝のプラットホームに電車が入ってくると、体が勝手に動いて飛び込もうとした時がある。休日になってマンションから下を見ていると、ベランダの手すりを越えて、飛び降りようとする自分に気がついた。

最近、こんな状態が続いている。しかし、自分では死にたい理由は思いつかない。自分はどこかおかしいと、あれこれ考える彼は「ひきこもりと家族トラウマ」を読んでから、自分には社会的ひきこもりと同じ親子関係の弱さがあると気づいた・・・


http://jbbs.livedoor.jp/computer/30691/


Aさんは、親と気持のつながりのない家庭で育てられた。彼は母親を「冷たく、ズルイ人。自分のことしか考えない」という。母は子供を愛する人ではなかった。

同じ会社の重役である父親は子どもとはコミュニケーションがなかった。Aさんが意見を言うと、「えらそうなことを言うな」、「生意気だ」と怒鳴るような人だった。親には余計なことを言うまいと子供の頃に決心した。

カウンセリングをすると、Aさんは人に頼まれるとノーが言えず、人間関係に疲れているのが分かった。どこにも居場所がない感覚は子どもの頃からある。

誰にも理解されないAさん。「自分はいつのまにか、親好みの子どもになったと思う。素のままの自分では生きれなかったから」と語る・・・


2013年7月22日月曜日

グループセラピー2013(2)感情的近親姦(2/2)

クライアント達が苦しむのは母による感情的近親姦である・・・

感情的近親姦とは、親が子どもを夫代わりにしたり、親代わりにする児童虐待を指している。被害者は幼児期から、母の夫役をしたり、母の母親役をさせられる。

息子は夫役をさせられるケースが多い。母から父のグチを聞き、父の代わりに母を助けて、いざとなると母を守らねばならない。母は父をアテにしていない。

そんな息子に恋人ができると母はしっとする。若い女性に夫代わりの息子を取られたと感じるからだ・・・

娘は母親役をやらされるケースが多い。母から父のグチを聞き、父の代わりに母を助けて、困ったら母を守らねばならない。母は自分の母から愛されなかった。夫とは不仲である。その母親の甘えたい気持を娘が満たしてあげねばならない。

そんな娘が自立すると母は娘に捨てられるように感じる。また、娘に恋人ができると、男性が母代わりの娘を奪うような気持になる。





感情的近親姦の被害者は母によって子ども時代を奪われてしまう。ひきこもりクライアントは、自分の人生を生きることができず、母のための人生を生きる。だから、彼らは「俺(私)の人生を返せ」と叫ぶのである。

感情的近親姦する母親は、子どもが自分の所有物だと思っている。自分が産んだからどうしようと私の勝手、子どもに勝手な真似はさせない、私の気持を分かって欲しいと無意識に考えている・・・

そんな母親は、子どもが自由に行動すると、自分の意志が無視されたと感じる。子どもが自由に生きたり、幸せな結婚生活をすると、自分が惨めになり、一人ボッチになったと感じる・・・


しかし、これは世代連鎖である。母親も同じことを自分の母親にされたのである。

グループセラピーの話題は母に苦しめられた体験談ばかりだった・・・



2013年7月12日金曜日

グループセラピ−2013(2)自由がない母親(1/2)

7月6日(土)にグループセラピー。参加者15名(潜在的ひきこもり13名、社会的ひきこもり1名、その他1名)。

グループセラピーは9時から3時半まで。しかし、ほとんどの人が7時まで残り、お互いに語り合っていた・・・

参加者は、世間が理解しない母の問題に悩む人ばかり。何を言っても理解してくれる仲間たち。自分の気持を話すうちに泣き出す人がたくさんいる・・・

母に愛されなかった、母が恐かった、母のグチばかり聞いた、母の側にいて苦しかった、母は私を利用したと訴えるクライアントたち・・・

母親は建前では「子どもが可愛い」という。でも、本音では自分のことで精一杯、子どものことを考える余裕はない・・・






クライアントの母親は孤独な子ども時代を送っている。誰にも愛されず、誰にも認められず、誰にも誉められたことがない。「家族」と呼ばれる孤独な集団で育てられ、結婚して、母となった女性たち・・・

母は世間の流れで結婚して子どもを産んだ。夫には何も通じない、アテにできない、そんな夫の子どもを産まねばならなかった。子育てとは一人でやるべきこと、嫌でもやるべきこと。生きるとは自由がない人生を覚悟すること。ガマンすること・・・

孤立無援の母は子どもに無意識に依存する。子どもだけは私の味方、子どもだけは私の気持を分かってくれる、子どもだけは私を助けてくれる・・・

しかし、その子どもが言う事を聞かないと腹がたつ。母から見ると子どもは恵まれている。母が持てない自由を持っている。そんな子どもが幸福になると惨めな気持になる。置き去りにされたような気持になる・・・

世間の流れに乗ろうと決めた時から自由は一番見たくないものになった。

母には自由がない、居場所がない、誰かに愛されたい・・・


2013年7月8日月曜日

英語のホームページ

英語のホームページ "Hikikomori & Japan" を開いた。構想2年後にやっと完成・・・

Hikikomoriという言葉はオックスフォード英英辞典に記載されている。ハラキリやスシと同じように、「ヒキコモリ」は日本を起源とする英語になった。このHPは英語圏の人たちにひきこもりを説明するが目的・・・


By the beginning of 2000, the syndrome had been spreading at almost epidemic proportions. Psychiatrist Tamaki Saito, who coined the term, estimated there may be over one million hikikomoris, about 1% of the total population of Japan. In 2010 the government stated officially over 1.5 million people suffering the syndrome one way or another.

Without effective treatments, the number is still climbing.


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http://blog.livedoor.jp/zzcj/archives/51700458.html


国外でひきこもりへの関心が広がっている。外国人は、何年も人を避けるひきこもりを心の病気と見ている。彼らの理解は、日本では「怠け者」扱いされる社会的ひきこもりの救いになると、私は期待している・・・

英語のホームページは http://hikikomorijapan.com/en/, あるいは狭山心理研究所のホームページで「英語のホームページ」をクリックするとアクセスできる。

2013年7月1日月曜日

厳しい父あるいは子どもに甘える父?

日曜日に入間サイクリングロード(川越狭山自転車道路)を散歩。曇っていたが、入間川沿いの運動場は野球とサッカーをする人たちで一杯だった・・・





近くの芝生で父親が息子にノック打ちしていた。見ると、中学生くらいの子どもにはかなり強い球だ。

私と妻が、サイクリングロードの川越の終点まで歩いて一時間後に戻ってくると、二人は同じ場所にいた。






木陰でお弁当を広げる私たち。その間父子は、練習、練習、また練習。まったく休憩なし。男の子は水も飲んでいない・・・

父親は必死にボールを打ち、男の子は必死にボールを追いかける。父親は立ってるだけだが、走り回る男の子は疲れきってた。もう二時間になるだろうか。しかし、父親は息子の疲れは眼中にないようだ・・・

食べながら見ていると、私たちは父親の口の悪さにビックリした。「何度言ったら分かるんだよ。お前は」、「何やってんだよ。もっと腰を落とせと言ったろう。お前は何を聞いてんだよ」。まるでヤクザ言葉である・・・

父親は、息子の細かいミスを見つけては、非難の言葉をあびせる。誉め言葉は一言も言わない。父親には失敗したら殴るような迫力があった。男の子はひどく緊張している・・・

「お前が学校の練習でちゃんとやれないから、俺が練習のための練習をしてるんだぞ。お前は一体何を考えているんだよ。お前を見ていると嫌になるよ」。アメリカならば児童虐待になる場面である。

球拾いで近づく親子はお互いに口をきかない。父も黙り、息子も黙る。男の子は父親の側にいてどんな気持になるのか・・・

父親は40代後半の会社員風。無口で真面目そうなタイプ。会社ではこんな態度を取らないはずだ。息子だからこそ「大柄な態度」になっている。

父親は、特訓のつもりだが、実際は文句を言えない息子にイライラをぶつけているだけだった。

子どもに甘えてストレス発散する親が多いと思う・・・