2012年9月26日水曜日

潜在的ひきこもり(4)父親について

潜在的ひきこもりの多くは父親について語らない。この傾向は社会的ひきこもりも同じである。クライアントは母親について話すのに、なぜ、父親について語らないのか?

クライアントの父親のイメージはふつう、「自分には関係ない人」、「夜遅く帰ってくる同居人」、「何を考えているか分からない人」、あるいは「突然怒りだす恐い人」である。


ひきこもり家庭の父親の姿は、健康な家庭と比較すると見えてくる。



父と母は子どもに関心を払っている


健康な家庭の父親は子育てに参加する。子育ては夫婦の共同作業である。


父と関わりを持つ子ども


子どもは父親とコミュニケーションを持っており、父親は子どもに関心を払っている。両親とコミュニケーションを持てる子どもは親の保護を感じることができる。



父も母も子どもを見ていない。


しかし、ひきこもり家庭の父親は育児に参加しないで、子育ては妻の役目だと思いこんでいる。父親は仕事中毒で、家に帰るのが遅く、妻と子どもとコミュニケーションを持たない。

母親は、一人で育児をするだけでなく、子どもを受入れられない問題を抱えている(ひきこもり家庭の母親は専業主婦が多い)。



父と関わりのない子ども



母に甘えられない子どもは父親を求めるが、しかし、父親は子どもと向き合うことができない。

日本では子どもは父親の背中を見て育つというが、それは父子のコミュニケーションが無いという意味である。

親に頼れない子どもは、やがて感情がマヒして、父親にも母親にも心が閉じてしまう。


親とつながりがある子供(左)、親とつながりがない子供(右)


ひきこもり家庭の父親は会社や仕事と結婚している人が多いが、クライアントはそんな父を見て、「自分には関係ない人」と感じるのである。