2013年3月31日日曜日

感情マヒ(3/5)演技、道化、孤立感

何も感じないのに感情表現すると演技となる。楽しくないのに明るくしたり、好きでないのにやさしくしたり、感動もないのに驚くのは演技である。

そして、相手を喜ばす演技は「道化」と呼ばれる。




演技性人格障害の特徴
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20090106/322277/



こうした道化の背後には一人ボッチになりたくない気持ちが隠れている。しかし、本人の意図とは逆に、演技は人を孤立させる。本心を隠すと誰とも親しくなれないからである。

演技や道化をする人が「本音を言うのが恐い」、「誰も本当の自分を知らない」と感じるのは、一人ボッチだからである・・・

本当の自分は、誰もいない、暗い心の洞窟に隠れている。



2013年3月29日金曜日

感情マヒ(2/5)会話をできない

感情がマヒすると会話をうまくできなくなる。自分の気持ちも、相手の気持ちも分からず、何をどう話したらいいか分からないからだ。


http://www.sofy.jp/labo/library/08-2.html



太宰治の人間失格には「自分は隣人と、ほとんど会話ができません。何をどう言ったらいいか分からないのです。そこで考えだしたのは、道化でした」というくだりがある。

会話できない気まずさを「道化のサービス」で隠す人をよく見かける。彼らは相手が何を考えているか分からず、その息苦しさを避ける為に、絶えず笑顔を作りながら、内心では必死の、油汗流してのサービスをするのである。

感情は人間の行動を真実にする。それゆえに、感情がマヒすると、行動の多くが演技となる。


2013年3月26日火曜日

感情マヒ(1/5)二つの感情マヒ

感情マヒは、ベトナム帰還兵で知られるようになったPTSD(心的外傷)の症状である。ひきこもりは戦争体験者ではないが、感情マヒはすべてのクライアントに見られる症状である。



found this picture on facebook
http://vetsadoptpets.org/ptsd.html



ひきこもりの感情マヒは複雑性のトラウマ(毎日の辛い体験の積み重ね)から発生する。幼児期から感情を抑えてマヒする場合と、本当の自分がストレスで感情を感じなくなる場合の二通りがある。

最初のタイプの人は、感情を見せると辛い思いをする環境(怒られる、ムシされる)で育っており、本心を見せると嫌われると考えている。

次のタイプの人は、幼児期のストレスで感情の発達が止まっている。ある感情を体験できないので、人間の気持ちがよく分からない

感情がマヒすると、自分の気持ちも相手の気持ちも分からないので、人間関係に支障をきたすケースが多い。




2013年3月18日月曜日

死ねないから生きる(3/3)

母に愛されない女の子が母親になると子育てが難しい。母性を体験してないので子どもとの関わり方が分からないのだ。




子どもを愛せない親への手紙の画像
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4043527012.html



健全な子ども時代を体験しなかった母親は、子どもの気持ちが分からず、密かに「子どもがうっとおしい」、「いなくなってほしい」、「興味ない」と感じている・・・

子どもの甘えを受け止められない母親は、子どもを過度に世話したり、過度に支配したりするが、それは子どもを嫌う気持ちを隠すためである。


そんな母親のカウンセリングをすると、母に愛されなかった自分が見つかる。死ねないから生きる本当の自分は何もしたくない。子育てを負担に感じている。

母親は誰にでも愛想がいいが、しかし、自分の子供だけはだませない。

子どもは、母の仮面の後ろに隠れた、子育てがうっとおしい母親を知っている。子どもは、当然、良い子になって母に嫌われれない努力をする。

こうして、母に愛されない体験(健全な子ども時代の欠落)は母から子どもへ世代連鎖する。










2013年3月13日水曜日

死ねないから生きる(2/3)

死ねないから生きる赤ちゃんは世間体にこだわる大人に成長する・・・

人並みに学校へ行き、人並みに働き、人並みに結婚して、人並みに子どもを産み、人並みに家族をもつ。すべて世間に認められるためである。・・・




http://emukichi-beat.sblo.jp/category/422231-3.html




しかし、ひきこもりにとって、人生は生きるか死ぬかの場所である。幸福を追求するところではない。心の深いところでは人間すべてを恐れている。

ともかく、その場しのぎできればいい、人に嫌われなければいい、これ以上不幸にならなければいいのだ・・・

ある女性クライアントが「私は人間ですか?どうか教えて下さい」と訊いた。

私はこう答えた。「あなたは人間だよ。僕と一緒に人間の世界に戻ろう」と・・・















2013年3月9日土曜日

死ねないから生きる(1/3)

社会的ひきこもりも、潜在的ひきこもりも、カウンセリングが進むと「生きるのを諦めた自分」が見つかる。それは母親に拒絶された赤ちゃん人格である・・・

母に愛されない赤ちゃんは生きる意欲がない。しかし、幼児なので死ぬことはできない。嫌でも生きるしかないのだ・・・

こうして死ねないから生きる人生が始まる。


死ねないから生きる人生はすべてが義務である。学校に行くのも義務、働くのも義務、結婚するのも義務、子どもを産むのも義務・・・

それは形を重んじる人生である。世間の批判から自分を守るための演技でもある。



うつの自己チェック
http://www.city.kumagaya.lg.jp/kurashi/kenkohoken/utsu.html



その形だけの人生を生きるのが潜在的ひきこもりである。そんな人生から逃げて部屋に閉じこもるのが社会的ひきこもりである。

どちらも自分を価値のある人間とは思ってない。本当は何もしたくないし、したいことも分からない。ただ、疲れている。

何のために生まれたか分からない。それがひきこもりの本音である。




2013年3月6日水曜日

潜在的ひきこもり(20)人の役にたたねばいけない(5/5)

親に愛されない子どもは、親の役に立てば愛されると考える傾向がある。そこから相手を主体とする生き方ーー共依存ーーが発生する。



http://whotalking.com/youtube/共依存




















共依存は愛に似ているが、拒絶の恐怖と本心が抑圧されているので、本当の愛ではない。愛には以下のような共依存の感情が含まれない。

  • 相手の役にたてば愛される(感謝される)という期待
  • 相手に嫌われる恐怖
  • 自分に価値がないという思い込み
  • 誰にも愛されないという絶望感


http://izonshou.jp/partner/




共依存は対等の関係ではなく、どちらかが、あるいは両方が相手を支配している。人の役に立たねばいけないという気持ち(共依存)には、本当の愛が欠けている。

年をとっても母の愛を求めたり、人に認めてもらう為に必死の努力をする人たちは親に愛されなかったトラウマを抱えている・・・



2013年3月4日月曜日

ロスアンゼルスに到着

3月3日(日)、ロスアンゼルスに到着した。ホーランドと比べるとゴミゴミした感じがするが、ここは私のアメリカ体験が始まった想い出多い街でもある・・・



ロスアンゼルスの夜景 http://japan.digitaldj-network.com/archives/51822724.html



初めてロスアンゼルスに来たのは1974年5月6日である。飛行機が到着した時はすでに夜だった。私は空港でタクシーをひろい、ハリウッドに予約したYMCAホテルに向った。旅行バックを胸に抱え、車の中から夜の街を眺めながら、アメリカ生活への期待と不安で一杯だった・・・










夜のハリウッド http://cool-boom.jp/blog/koji/2011/04/post-107.html


















あの頃の自分は日本での将来が見えなかった。アメリカで新しい可能性を見つけようとしたが、それは闇の中を手探りで歩くような生活でもあった・・・



LA.jpg
http://cool-boom.jp/blog/koji/2011/04/post-107.html


次の朝、YMCAホテルの部屋で目が覚めると、暗闇の中に光がもれていた。目をこすりながら、ぶ厚いカーテンを開く
と、目の前に明るいハリウッドの街が広がった。私は「やった」と身震いした・・・

現在の私はこの瞬間から始まったと思う。




2013年3月1日金曜日

グループセラピー2013(1)、3/3

ひきこもりクライアントはグループでは本音を言わないクセがある。それゆえ、グループセラピーの参加者は、ある程度回復して、人前で本音を言える人だけに限られている。

そんな13人の参加者にアンケート調査をしたら、潜在的ひきこもりを日本の文化病だと思う比率は100%あった。つまり、全員がそう感じていた。





ひきこもりが世代連鎖すると考える人も100%・・・

日本人の70%以上が潜在的ひきこもりだと感じる人は13人中11人いた。

ひきこもりの治療を受けない場合、将来はどうなるかという質問に対して、8人は自殺、孤独死、精神病院の入院のどれかと答えた。

ひきこもりは人と親しくなれない病気だが、こうした結果は、日本社会の非婚化、少子化、うつ、孤独死、自殺との関係を暗示していた・・・