2013年6月13日木曜日

ひきこもり発生のプロセス(6)母に甘えない子ども

K子さんは子どもを産んだことを後悔した。L男がしつこくまつわりつくのがうっとおしいからである・・・

しかし、子どもを産んだ以上は育てなければいけない。K子さんは、本音を言えば、L男を好きではない。しかし、ともかく、ご飯を食べさせて、世話しなければいけない。跡継ぎのL男を捨てるわけにはいかなかった。K子さんは、子どもを育てるのが自分の義務だと考えた。

「あれしなさい」、「これしなさい」、「それだめでしょ!」、「早くしなさい!」、「何度言ったら分かるの!」と怒鳴り続けるK子さん。子どもは親の言う通りに動いてくれればいい。そして、母一人で子どもを育てるには厳しくするしかない・・・

L男が2才になると子育てはもっと大変になった。やることは沢山あるのに、L男はのろのろして、K子さんの言う事を聞かない。子どもはワケの分からない存在、母親の役にはたたないもの、甘えることしかしない。手のかかる子どもが逆らうと腹がたつ・・・



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ある日、K子さんはワガママばかり言うL男をベランダに出してカギをかけた。外に出されたL男は大声で泣いた。泣き声は近所に聞こえるはずである。しかし、K子さんは「お前の好きなようにさせないよ」と、ガラス越しに憎しみに満ちた目で睨み、台所に消えていった。

しかし、厳しくしつけたおかげだろうか、L男は前ほどにはワガママを言わなくなった。放っておいても、一人でオモチャで遊ぶようになり、TVの前に座らせておくと大人しく見ていた。L男に手がかからなくなり、K子さんは子育てがラクになったとホッとした。

しかし、K子さんはL男が母親を恐れている事実に気づかなかった。あれダメ、これダメとイライラする母親に対して、L男は、自分が大人しくすれば母親は喜ぶと感じていた。子どもはじっと静かにしていればいいと、L男なりに考えたのだった・・・

母親の顔色を伺うL男は、自分の感情を抑えるようになり、母が気に入る「良い子の仮面」を作っていった。2才の男の子が本心を隠したのは、母を怒らすのが恐かったからである。

L男は母に甘えない子どもになった・・・