2013年6月27日木曜日

ひきこもり発生のプロセス(9)無視

K子さんは子どものワガママが大嫌い。しかし、子どもを大人しくさせるテクニックを知っていたーーー無視である。

4才になったL男が公園の砂場で遊んでいる時である。L男は近所の同い年の子どもと砂山を作っていた。その子がL男のプラスチックのスコップを取ろうとした。L男は嫌がり、スコップを渡そうとしなかったので、二人はケンカになった。

子どもの争いを見ていたK子さんは「L男ちゃん、スコップを貸してあげなさい」と注意した。K子さんはL男に人に思いやりのある子どもになって欲しかった(本当はその子の母親がどう思うか気になっただけ)。でも、L男が全く耳をかさないので、K子さんは強い口調で「渡しなさい」と怒鳴った。

その子のお母さんがびっくりして見たので、K子さんは恥ずかしくなり、「L男ちゃん、スコップを渡そうね。仲良くしようね」と猫なで声になった。K子さんの機嫌が悪いのに気づいたL男はしぶしぶ男の子にスコップを渡す。L男はそうしたくないのだが・・・

L男のしたことは悪い事ではない。それは子どもの健康な自己主張である。K子さんは、男の子の母親がどう思うか気にして、スコップを渡すように言ったのだった。問題はむしろK子さんである。L男の気持を全く考えないし、L男に恥をかかされて怒ったのは間違っていた・・・

家に帰る時、K子さんはM子を抱えながら、L男を残して歩き始めた。びっくりしたL男は走ってきてスカートをつかんだが、その手を振り払い、L男を拒絶した。L男は母の怒りに気づいて固くなった(子どもがうっとおしいK子さんが怒るとL男は震え上がる)・・・



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K子さんは、部屋に戻ると、M子をベビーベットに寝かし、台所で夕食の支度を始めた。後ろでL男が悲しそうにうつむいているが、口をきかなかった。食事の用意ができると、L男をテーブルに座らせ、皿を置いて一人で食べさせた。

L男を無視して、応接間のTVのスイッチを入れて、K子さんは考えたーーー来年は幼稚園である。その時までにL男をしつけねばならない。人前でワガママ言ったり、騒いだり、自分勝手な振る舞いをさせたくない。そんな子どもは親の恥であると・・・

欲しくない子どもを産んだK子さん。心の深いところでは子どもがうっとおしい。でも、子どもを脅かせば従うと分かってきた。脅かす手段は幾つかあるが、なかでも無視は効果があった・・・

K子さんは次の日もL男と口をきかなかった。4才の子どもが母に拒絶されるのはとても辛い。L男は自分を責めながらK子さんの顔色を伺っていた。

L男はこうして強者(母)嫌われる恐怖を学んでいた。