2013年5月24日金曜日

ひきこもり発生のプロセス(2)新婚生活

K子さんは円満退職。二人は夫の実家近くのマンションを購入した。夫の両親がローンの頭金を払ってくれたからである。時は昭和51年(1976)。ロッキード事件で田中角栄前首相が逮捕されて日本中が揺れていた頃だった。

専業主婦としての新婚生活は順調に見えた。しかし、その希望は姑によって簡単に崩れてしまった。姑がK子の生活に当然という態度で入り込んできたのである。

姑は、マンションに毎日のように訪ねて来ると、のグチや近所の噂話をあれこれした。グチよりも嫌なのは、ああした方がいい、こうした方がいいと、家事を上から目線で指図することだった。姑が言った通りしないと気分を悪くするので、K子さんは笑顔で従うようにした。

常識のない姑は土曜日の夜9時に突然来たことがある。K子さんは夫とベットで寝ていたのでびっくりした。姑は「あら、ゴメンね」と言って寝室のドアを閉めたが、その時間に訪問するほどの用事ではなかった。

K子さんは姑に監視されている気がした。「お母さんはちょっとおかしくないかしら」と言ったが、夫は「そうかな」と笑って取り合わない。あまり強く主張すると夫が不機嫌になるから、いつものことだが、会話はそこで終わる。

結婚前は気づかなかったが、夫は親に口答えできない人だった。姑に用事を頼まれると断ることができず、K子さんよりも親を優先した。親戚の集まりで別人のように「良い子」に変わる夫には驚かされた。



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一人ボッチのK子さん。心をうちあけて相談できる友だちはいなかった。自分であれこれ考えて、心のあり方がおかしいのだと気づき、考え方や接し方を変えてみることにした。

しかし、夫はそんな気持ちとは裏腹に、帰りは遅く、新聞を読みながら食事して、優しい言葉をかけてくれたこともない。見合いの時からそうだったが、二人の間に親密な会話はなく、K子さんは夫には問題を相談しなくなった。

日曜日になると接待ゴルフに出かける夫の後ろ姿を見ながら、K子さんは「私を守る人はいない」という孤立感が日ごとに強くなった。夫とのコミュニケーションの無さを考えると気が狂いそうになる時がある。この重い感情の塊は何なのか?この感情さえ無ければ楽なのにと子どもの頃から思っていた・・・

夫はK子さんの気持ちを理解できる人ではなかった。離婚の考えもわいたが、K子さんは自分の意志で行動するタイプではない。周囲の反対を押し切って離婚する勇気は自分には無かった。子どもの頃から誰にも本心を言わないK子さん。ガマンすればいいと諦めのような感情がわいてきた。